ずぶぬれの二人の札幌

札幌でフリーライブとグルメを楽しんでいます。

中島みゆき「南三条」を歩く

 札幌市にて、中島みゆきの「南三条」の世界を辿っております。

 中島氏は帯広市出身、札幌の大学に在学中からフォークソングで注目され、
 卓抜した歌唱力、叙情的な詩の歌詞の歌で、すぐに全国区におどりでました。

 「南三条」とは、札幌市の大通りとすすきのの間の繁華街で、
 歌のヒロインは、南三条でかつての知人の女性と出会う。

 ヒロインには恋人がいたが、うまく行かず別れてしまい、
 その別れた恋人はすぐに別の女性と交際し、

 ヒロインは、
「この女性さえいなければ、昔の恋人のもとに戻れたのに」と思わずにいられず、その女性を憎んできた。
  偶然出会った当の女性は、赤ちゃんを背負い、汗ばんだ笑顔で会いたかったわ、というが、ヒロインは、会いたくなかった。

 女性は、どうやら、自分の彼氏がかつてヒロインと交際していたことを知らないらしい、
  そして、女性は「この人が夫」と紹介した男性は、かつての恋人ではなかった。

 ヒロインが戸惑っていると、女性は、
「貴女の知っている男性とは、すぐに別れた」と屈託なく説明する。

 ヒロインは、この女性をずっと憎んできたが、

 女性は憎まれていることさえ知らず、無邪気に生きてきて、
 とっくにかつての恋人と別れて別の男性と結婚し、赤ちゃんも生まれて、汗ばんだ笑顔で、現実をしっかり生きている。
 
 しかし、ヒロインは、ずっと見当違いの方向の感情を持って今も独身なのだろう。

 その、人間ドラマを見事に歌い上げる「南三条」は、中島みゆきの傑作となりました。

 南三条は、ドンキホーテの位置が変わり、電車が走り、確かに私が知る南三条とはすっかり変わってしまった。


 地下鉄の海へ流れ込む人の流れに身をまかせ
今日も流れゆく流れゆく心のぬけがら
互いに誰もがまるで人のいない砂漠をゆくように
うまくすり抜けてすり抜けて触れあわず流れゆく
突然袖引かれ見れば
息をきらしてる笑顔
なんてなつかしい、と汗かいて
忘れたい忘れないあの日の女
南三条泣きながら走った
胸の中であの雨はやまない
南三条よみがえる夏の日
あの街並はあとかたもないのに
流れてゆく人の流れ何ひとつも知らなくて
ただ二人は親しそうに見えるだろう

会いたかったわ会いたかったわと無邪気はあの日のまま
会いたくなんかなかったわ私は急ぐふり
どこまでゆくのと
背中で眠る赤子を揺りあげながら
私ふけたでしょうあなたより年上みたいねと
なにも気づいてないのね
今もあの日と同じね
もしもあなたなんか来なければ
今もまだ私たち続いたのに
南三条泣きながら走った
胸の中であの雨はやまない
南三条よみがえる夏の日
あの街並はあとかたもないのに
ほんとは違うわかっているの私と切れて後のことだと
でも憎まずにはいられなかったの

この人なのよと呼び寄せた男に心当たりはなく
そんなはずはないあの人と幸せになったはず
戸惑う私に気づいて教える屈託のない声で
あなたの知ってるあの人とは間もなく切れたわと
そんなこと知らなかった
彼といると思ってた
ずっと憎んで来た無駄な日々返してと
何を責めればいいの
南三条泣きながら走った
胸の中であの雨はやまない
南三条よみがえる夏の日
あの街並はあとかたもないのに
許せないのは許せなかったのは
あの日あいつを惚れさせるさえできなかった自分のことだった