熟年女がYouTube登録している歌手さんのうちの何人かが、「香水」という歌をカバーしていて、
歌もいいが、ハンマリングを多用したギターの伴奏を聴いて、こんなの弾けたら良いな、と思うと、模範演奏している動画も幾つか見つけた。
歌は、昔付き合っていた女性からラインで連絡がきて、別に何をするわけでもないが、彼女のドルチェ&ガッバーナの香水にいろいろ思う、そんな歌だった。
ギターは、GからとかFからとか、幾つかあり、とりあえず、右手を覚えてから
、歌いやすいコードにしようと思った。
Gからのだと、G、A、Dときて、F#とかBmがあるが、熟年女は、そんなの、AとかDでごまかしたが、右手のリズムが難しかった。
数日前、古着屋で、使いかけの香水が売られていて、熟年女が手に取ると、それは、かつて通った女装バーの雇われママ(戸籍は男性)が愛用していた甘く扇情的な安香水だった。
雇われママは、綺麗で愛想良かったが、遅刻魔で、熟年女は店の前で1時間待たされてあきらめて帰ったこともあるし、
待っている間に別の客の女装家がきて二人で待ち続け、「もう来ないよ、一緒にご飯食べて今日はもう帰ろう」と吉野家で牛丼食べて帰ったりもした。
客は
「まったく、ひどい遅刻魔だ、もうここには来ないよ」と言い捨てたものだった。
そこで、熟年女は、雇われママにあらかじめ、「今日は行くからね」と電話をすると、雇われママは、それでも10分は遅れて、「ごめんごめん」と現れたが、その愛想のある笑顔や、雇われママの白い肌に、熟年女は、「私もいま来たばかり」と言うのだった。
雇われママのあの香水の香りが、思い出すと、二度と帰らない青春のページのようだった。
その後、雇われママは、放漫な営業だったようで、大ママにも見放され、店はすでになくなった。
最後の営業日にはサファイアで知り合った女装家と訪問し、大ママには会ったが、雇われママには会わなかった、
綺麗な思い出のままにしたかった。
「香水」を聴くと、なんか、あの肉感的な体の雇われママを思いだし、胸が痛い。
雇われママとは、サイクルで知り合い、亡くなった日下部さんの思い出を語り合った。
香水、歌、すべては残像だけ残して消えてゆく、
いま、仲良くしてくれる人を大切にしたい。