ずぶぬれの二人の札幌

札幌でフリーライブとグルメを楽しんでいます。

遺品のギターや三味線と、猫さん

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 先日、新宿で会った友人が、お母様の介護のため千葉県の実家に滞在しているので、会いに行きました。

 広い家には、かつては店をやっていた離れがあり、亡くなったお父様は三味線、ギター、鳴り物は何でもできる芸達者、お母様も陶芸などできて、

 室内には、たくさんの楽器、着物、食器、飾り物、各地の土産品、本、剥製の鳥、絵画、記念写真、箪笥、家具などおびただしく並ぶ。

「よく、三味線やギターを何本も所有する人がいますが、1度訊いてみたいが、火事になったらどれを持って逃げるのでしょうか」

「すごい量の品物でしょ。遺品整理はどうやって片付けたら良いのか。ヤフオクで売るにしても、詳細が分からないし」

「この津軽三味線はこの部分が金で、高い楽器でしたね。この、皮の破れた三味線は、中が、綾杉彫りになって、紅木でこれも高い楽器です。

 このギターはたぶん70年代のジャパンヴィンテージの鈴木バイオリンで作ったもの、あのギターはモリス。良い楽器ですが、弦は錆びてメンテナンスされてない。

 楽器は、(私を弾いてくれ)と叫んでますよ。お父様は、こんな良いものばかり遺して、死にたくなかったでしょうね」

「父は、死にたくないと言っていた。自由人だったからね。でも、ギターや三味線はコロナで練習する人もなく、売れない。特に三味線は売れない。着物も服もよ。貴女も、死ぬ前には、家財道具の整理をした方が良いよ、後に残された人が困るから」 

 使われないギターや三味線は、寂しそうだった。

 私たちはそのあと、ダイニングキッチンで、買ってきたお総菜とワインを飲みながら語りあった。

 お母様が世話している雄の元野良猫と、その雄猫が口でくわえて拾ってきた雌の子猫(今は大きくなった)がいて、夜はストーブのそばに寄り添っていた。

 雄猫は野良猫時代に猫エイズになり、昼間は外にいて夜は家にいて、人間が食べるものを好んで食べていた。雌猫は最初から室内で飼われていた。

 親子でも夫婦でもない猫が猫を拾ってきたが、仲良く寄り添って、可愛かった。

 お母様は猫を可愛がるために、施設にも行かず、自宅で暮らしていた。命にはそれだけの価値があるのだ、使われない物質より、生きる命は愛しく可愛いのだと痛感した。

 夜はそこに泊まりました。

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