共に打つ狸囃子や春の夢
捨てがたき気まま暮らしや揚雲雀
虚子の忌やこの頃重き大辞典
一枚の紙に手を切り冴え返る
富士よりも筑波に親し野焼かな
初午や山菜入れし稲荷寿司
東京に隠れ里ある梅見かな
お家騒動など無く北窓全開に
稀に聞く山手言葉春日傘
大阪への転勤を告げられ、ぼうぜんとする。
家人は、大阪に行くのが悲しいようで、表情は暗かった。
「仁徳天皇陵を見に行こう。
太陽の塔も一度は見なくては。
鶴橋のコリアンタウンをみたり、上方の落語もあるよ。船場の商人の町をみたり、飛田の遊郭はどう。文楽もあるよ」
と、案をだすと、じゃあ。いってみるか、と、ボソッという。