60歳で仕事の契約が切れる野良猫に、退職祝いに、ニューバランスかアディダスのスニーカーを買ってあげることにしたが、野良猫は千円のスニーカーでいいと言った。
「ニューバランスとか若向きの靴は、細身だから。もっと幅のあるやつが良い」
「じゃあ、せめて、ダンロップの4000円くらいの、防水のスニーカーはどう」と言うと、彼は、少し考えこんだ。
すると、店員さんが、
「このダンロップの靴は、底もしっかりして、幅もあるし、人気があります。お客様は、いま、ナイキのシューズを履いてますが、ダンロップも良いですよ」
ナイキのシューズなんて履いてたかな、と思ったが、店員さんの勧めで、そのスニーカーを買うことにしました。
そのあと、店内に、本物のナイキのシューズがあるのをみつけ、
「店員さん、このナイキの靴と、あんたがいま履いてる靴を見間違えたんじゃないかな。あんたの靴は、ナイキじゃなくて、ナイネ、だよ」
「俺の靴、千円だよ。ナイキはもっと高い。俺が履けば、ナイキに見えるんだよ」と野良猫は威張る。
野良猫は、新品のダンロップのスニーカーを、よそ行きにする、と言った。
最初の写真が、ナイキ風のスニーカーと退職祝いのダンロップのスニーカーで、2枚目の写真が本物のナイキのシューズです。