ずぶぬれの二人の札幌

札幌でフリーライブとグルメを楽しんでいます。

宝生能楽堂にて三宅狂言会を観劇

 
 水道橋近くの宝生能楽堂にて、三宅狂言会の狂言を観ました。かつての知人が出演しており、「業平餅」という珍しい演目があったので、興味を持ちました。コロナのため、しばらく狂言を観てなかったのですが、久々に見ますと、皆さん、いちだんと姿形は風雅に、声は朗々と響き、歩くさまや、舞い踊るさま、芸が磨かれていると思った。
 最初に「花盗人」かつて、「花盗人は風流のうち」という諺がありましたが、丹精こめて育てた桜を折られた人が、折った盗人を捕まえて縄をかけると、盗人が和歌を詠みつつ身の恥を嘆くと、家の主人は、雅な人だと縄をとき、酒を振る舞い、盗人は 「この春は花の下にて名はつきぬ烏帽子桜と人やいふらん」と詠むと、主人は、桜をおり、盗人に与えて帰す。
 次は、「隠し狸」、狸汁を振る舞いたい主人と、狸を渡したくない太郎冠者の掛け合い。
 3つ目に「業平餅」で、色好みの貴公子、在原業平が風光明媚な和歌山の玉津島神社に参拝しようとすると、門前の餅屋で餅を売られるが、食べたいが貴公子はふだん、お金を持たない。お金の代わりに歌を詠もうとすると、餅屋は、相手が業平とわかり、自分の娘を奉公に出したいと相談すると、業平は喜ぶが、娘は大変な醜女で、業平は思わず逃げ惑う。
 和歌を詠む優雅な貴公子が、人間味あふれる存在として描かれる、なかなか珍しい話でした。